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ナナオ:FORIS.HDセミナー

2008年11月28日に株式会社ナナオEIZOガレリア銀座にてFORIS.HDモノフェローズ専用セミナーを開催いたしました。当日は週末(金曜日)の夜というお忙しい日程の中、多数のモノフェローズの方々に参加頂きました。大変に感謝しております。

今回のセミナーは、株式会社ナナオがテレビを作り始めるきっかけとなったプロジェクトTVのメンバーの中からお二人、FORIS.HDを含めた株式会社ナナオが発売されている全てのテレビに開発に関わっている新田開発マネージャーとテレビの商品企画を経験された後、現在はEIZOダイレクトの販売企画を担当されている北係長、にスピーカーとして参加頂きました。そしてお二人から、何故ナナオがテレビを作るようになったのかと言う経緯や、FORIS.HDの開発意図や、開発時の苦労などについてご紹介頂きました。

(新田開発マネージャーと北係長)

ナナオというと、PCモニターの名門として有名です。特にCRTモニターのころは、製品内に磁石を使っている関係で販売する地域ごとに調整をして、その地域地域で最適な画質が出るようにしていました。こうした「使う人の視点」で考えた超が付くほどまじめなモノ作りが、PCモニターを使ってクリエティブな仕事をする方々から高く評価されてきました。

(人の命を左右するモニター品質。
ナナオモニターはそんな過酷な現場で使われています)

そんなナナオですが、実はインベーダーゲームのモニターOEMで一世を風靡した会社なのだそうです。これは驚きでした。しかし、その当時から、同社のモノ作りの姿勢は一貫していて、ゲームを楽しむ方が画面を凝視してもあまり疲れないですむようにと考えて、石川の工場で一台一台手作業で丁寧に調整をしていたのです。ここでもそうした「使う人の視点」で考えた真摯なモノ作りの姿勢が高く評価されたのか、その売れ行きはものすごいものがあり、当時は全社員をハワイ旅行に招待したほどだったそうです。

そして、この「使う人の視点」で考えた真摯なモノ作りの姿勢は、今回の商品、FORIS.HDにも引き継がれています。

FORIS.HDは、卓上で使えるフルハイビジョンテレビ、
兼PCモニターという特徴のある商品です。

今回のセミナーを伺っていて、この「卓上」というところがこのFORIS.HDのポイントであることが分かりました。テレビを作っているメーカーは多数ありますが、彼らは基本的には居間で使う大画面を基本としていますので、卓上での使い勝手についてはあまり詳しくありません。一方で、ナナオはモニターの名門ですから、モニターとして使われる際に何が大切かを一番良く知っています。FORIS.HDはそこに徹底的に拘っています。

居間であれば、テレビ台などで調整が出来ます。一方で、卓上では、そもそも机の高さがありますし、使う際にも椅子に座ってい使いますから、一定以上の高さがあってはいけません。そのため、ナナオは画面センターが一般の方の目線よりも適度な高さに来るために、

(1)画面サイズをあえて24・27インチに抑えている
(2)スピーカーの位置や配置に特別な工夫をしている
(3)角度を自由に調整できるようにしている

などの工夫をしています。

(1)は、同じメーカー出身者として大変に感銘を受けました。ご存知のように液晶テレビは大型化を加速度的に進めています。それは大きいサイズのニーズがあるとともに、大きいほうが高く売りやすいという側面があることは否定できないと思います。そうした中で、売りにくいというマイナス面があることを知りつつも、ナナオは卓上で画面センターが適度な位置に収まるサイズこそが、卓上テレビという商品を使う方にとって最適であると判断して、あえて小さいサイズを選んだのです。ここには、作り手・売り手の都合よりも「使い人」の都合を優先しているナナオの企業姿勢が見えてきます。

(2)は、デモをしていただきましたがその効果に驚きました。そもそもスピーカーの性能はスピーカーの径(大きさ)に大きく影響されます。音質を上げるためには、大型のスピーカーが必須なのですが、薄型・卓上テレビではその配置に苦労します。横におけば卓上では大きすぎます。下に置けば画面センターがあがってしまいます。

そこで、ナナオはスピーカーを下に置きつつ、斜めに配置するという選択をしました。更に、音響効果を上げるために、薄型テレビとしては珍しくスピーカーの後ろに大きなスペースをとり、そこのエンクロージャーをつけました。また、指向性が強い高音部分の音を劣化させないために、ディフューザーという部品をスピーカー前につけて高音をしっかりと聞こえるように調整しています。音質を犠牲にすることとなく、画面センターの位置(使い勝手)を守り通すナナオのエンジニアの意地が感じられます。

(3)は、コストのかけかたに驚きました。モニターの角度を変更できるのは当然としても、角度の自由度や角度変更後の安定性が至近距離で見るときは重要になります。そこで、ナナオは、アルミダイキャストをこの部分に使ったのです!これは相当に高価な部品です。しかも、それはお客様には普段見えない場所ですし、店頭では全く気付かれもしないでしょう。しかし、ナナオはモニターの名門として、角度の自由度と角度変更後の安定性には多額のコストをかけるという判断をしたのです。この地味だけれども高価な部品からは同社の価値観、「使う人」を重視するという姿勢が滲み出てきていると思います。

(赤枠が高額部品アルミダイキャスト!青円はエンクロージャー。
全て見えない部分ですが手を抜いていません)

これ以外にも、FORIS.HDには、至近距離で見続けても疲れない輝度の設定、入力端子ごとに調整を加えた色温度設定、24インチと27インチで変えている画質調整、高価なHDMI端子を背面ではなく、日本人に多い右利きの人が使いやすいように使い手から見て右側面に配置するなど、ここでは語りきれないほどの「使う人視点」で作られた証が詰まっています。

(使う人の利便性を考えて、高価なHDMI端子をあえて側面に設置)

液晶テレビというと、販売の現場では画面サイズや色再現性、動画対応などの機能面が前面に打ち出されていて、私もそうした価値観で商品を見てきました。しかし、このFORIS.HDのセミナーの開催支援をさせていただく中で、「使う人視点」で考えると、もっともっと異なる価値感で液晶テレビは観るべきなのだと感じるようなり、私自身も大変に勉強になりました。

参加いただきましたモノフェローズの皆様、ありがとうございました!

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